健康保険制度は、国民全員が等しく治療を受けることができる制度です。
その反面、保険適用の歯科治療においては「かめる」という最低限の機能を取り戻すことに主眼が置かれているため、使われる材料や治療方法は20年から40年ぐらい前のものに限定されています。
このため、「美しさ」を追求するご要望には保険が適用されない全額自己負担での治療を受けていただくことになります。
一番わかりやすいのは、経年劣化(けいねんれっか)とよばれる治療経過後の見た目の変化だといえます。その違いは写真で確認いただくと一目瞭然です。
保険治療ではレジン(プラスチック)が用いられます。
それに対して保険適用外の審美歯科治療では、セミラック(陶器)やジルコニアといった材料が使用されます。
レジン(プラスチック)は性質上、食事をするたびに水分を吸収してしまうため、時間の経過とともに見た目が劣化してしまいます。
一方、セラミック(陶器)は見た目が劣化しないことが最大の特徴です。
保険適用範囲内で認められている、いわゆる「銀歯」は、見た目に違和感があるだけではなく、金属イオンが体内に流出することで身体に悪影響を及ぼすことが知られています。金属イオンが身体に及ぼす影響は人によって様々ですが、場合によっては金属アレルギーによる発疹(ほっしん)が起きることがあります。
また、金属イオンが歯ぐきに沈着することによって歯と歯ぐきの境目に黒い線ができてしまうブラックラインも金属イオンの弊害の一つとなっています。
そこで今、「金属を全く使わない治療」が注目を集め、希望される方が増えています。金属を使わなければ、アレルギーの心配もありませんし、何より天然の歯に近い美しい外観が得られます。歯や口腔内は当然生きた体の一部です。事実、難治性のアトピー性皮膚炎や掌踵のう胞症が、口腔内の歯科金属を撤去することで症状が大きく改善した例もあります。材料をかえることで身体への優しさへつながります。